腹上死/おるふぇ
存在しないかのように
立ち居振る舞うだろう
そして、
どこにでもいる恋人同士と同じように
最初から決まっていたかのように
ラブホテルのドアをくぐる
シャワーを浴びた後
タオルで包んであげて
そのままベッドへと
なだれ込む
5
いつもより優しい言葉
いつもより巧みなキス
いつもより長い愛撫
何かを打ち消すかのようなその行為
本当の至福は
俺と君との間にだけ
生まれる
どこか偽物臭い照明も
安っぽい壁の柄も
染みのある床も
ねえ、
あの夜よりかは
ましに見えるだろう
君の乳首は左側の方が大きくて
君の喘ぎ声は訛りが入っていて
君の愛液は粘度が強かった
顔や名前は勿論
性感帯すら俺は知っている
6
行為をしたまま
絶頂を味わいながら
君の腹の上で死ねたら
恍惚の表情で
昇華できるだろうか
強く強く
これが愛だ、と
四肢を震わせて
理性を捨て
本能を超え
二人は天国へと
逝ける、刹那
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