ノート(犬)/木立 悟
 

午後三時の道の上
薄目を開けて寝そべっている


おまえの見る夢は多すぎて
電車がすぎても目覚めない


食い散らかして 蹴飛ばされ
胸も腹も治らない


同じ道の同じところで
はぐれ 迷い うろついている


後部座席の同類を見て
少し笑って歩いてゆくとき


おまえのよごれた後ろ姿に
ひとかけらの夢を見ていた

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