言葉の形/猫のひたい撫でるたま子
 
、話すことは当たり前になってしまっているから、言葉を意識する機会は本を読む時間が一番多いと感じる。

本の中の文字をいつも追っている筈なのに、版下を見たことで言葉にも形があって出来ているんだと改めて感激した。

目で文字を追って、読んで頭の中に理解させてゆく過程では言葉には形がなく、音でも形でもない何か信号のようなものになっている。

同じ言葉でも、耳で聞いてもなんとも思わなくても活字で見ると異様に素敵な言葉があったりする。

最近、口に出して気持ちいいと感じた言葉は、居酒屋のメニューから「すばらしい生ハム」
過去最高に口に出したいと思った言葉は、「白樺の名刺入れ」

その逆もしかりで、見て美しいと思った言葉は、「薄墨色」
今日くつろいだ喫茶店の名前、よるのひるねから「午睡」


写植の原盤はいつか無駄なものをコレクションできるスペースとお金ができたら買おうと思った。写真の映写機でも使えるそうだ。

愛してやまない言葉の魅惑は創作だけには留りそうもない。


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