東京無音日記/はらだまさる
 
名前の居酒屋で
ぼくは真っ白な顔で、記憶と記憶をことばでコラージュして
冷たい枝豆と、冷たいビールをちょびちょびやるだけで
うなぎやうなぎパイの話を牛やキリンや駱駝のように反芻して
インドの山奥やカルカッタや赤痢のことを
冴えない頭で必死に

そのうち、時間と元気を取り戻して
みんなの顔と笑い声を
芋焼酎のお湯割りに浮かべて
笑っていた


03/06/2007
白い煙突、
名前のわからない川
風と生きているんだね
九百CCのバイクで走る
ぼくの知らなかった表情で
ぼくの聴いたことのない声で
町はすごく楽しそうに語りかけてくる
ことばが黒なら、伝えようとし
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