東京無音日記/はらだまさる
 

あたたかくて、眠れない

聴こえるかい
ぼくが近づいていく音が


少しグリーンがかった黒い湖から吹き上げる譜面のない交響曲の、
そんな、間違いようのない夜だ
一億五千万キロメートル離れた太陽から
雲を突き破って環状線の西側に
約八分二十秒遅れでひかりが咲くんだって

ぼくはそれを摘みに行く
時速七十五キロメートル、ハーヴェスト・ライナーで
何の問題もない


ぼくは元気です


02/06/2007
清澄白河の朝はしずかで、
ブチの野良猫が笑っている
東京で一番最初の挨拶はエレヴェーターの中だった
英語訛りの日本語で「オハヨーゴザイマス」

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