「しゅき」の記憶/umineko
 
ほんとうがとどかない、ということ。うむむ…。

「好き」を「しゅき」と言い換える。作品の巧拙はともかく、そのエッセンスを届けたかったのだけど、それをうまく、自分の中で説明できなくて。ちょっと腹立たしく思ってた。


今なら、わかるよ。

「しゅき」は「好き」のメタファであり、その感情はメタファでしか伝えられない。ということ。


詩を書くときに、いわれませんでした?(悲しいとか、楽しいとか、そういった感情を直接表わす表現は避けましょう)って。(それを別の形で表現しましょう)って。

それってさ、実生活とは真逆じゃないですか。スタンスが。ことばの本質からしても。だから詩は、現実から遠い。

だけど、ね。
メタファでしか伝わらない気持ちがある。

好き、ということば。そのことばのもつ可能性と、ナイフのようなさみしさと。ことばにしてしまえば、それ以上の高みには。もう私たちはとどかない。

伝えない。あるいは、伝えられないという重み。



私がいいたかったのは。それだけ。
 
 


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