雨音/たもつ
 
う日もあります
本当は女性として生まれてきたかったんですよ


 /可哀想な感じがしないのは
  倉持さんの配慮のおかげだ
  僕は倉持さんのことを好きになり始めてる
  ねっとりと生温かくスケベなことをしたい

 /砂漠を少し歩く
  鉄筋コンクリート三階建ての建物がある
  金属製のプレートに研修所とある
  その隣、窓にすだれのかかっている平屋が
  僕の実家だ

 /僕はあの実家で生まれたかった
  生まれても良かった
  実家はいつも汗臭くて
  歯磨き粉が足りなかった気がする
  私の実家もそうでした
  と、後になって倉持さんは述べた
  
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