夫婦/小原あき
 
のは
わたしだけかもしれない

いつも
わたしに語りかける舅は
淋しそうで
隣の叔母が
叔父の陰口を言ってくるのを
ただ静かに
だけど淋しそうな
背中をして
聞いている
その背中をさする姑を
知らないままに

こんな背中に
夫をさせたくない、と
もし、ひとつだけ願いが叶うなら
そうお願いしよう

舅の背中で
にこり、と
姑が笑いかけてくる
傍にいることは内緒よ、
そんな顔をして

そして
そんな姑も
少しだけ
悲しそうにするのだ

死んでしまっては
いけないと思った
どんなことがあっても
二人で生きていたい

死んでしまっては
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