夜明け前/はじめ
せていた 規則的に動く秒針の音はさらに頭を冴えさせて僕に宇宙の根本原理について考えさせた
しばらく目を瞑っていた たまに通る車の走り去る音が心地良く聞こえた きっとみんなあの公園へとおいしい空気を吸いに行っているのだろう
気が付くと僕は眠っていた 目が覚めた頃には本格的な夜明けが迫ってきていた 空が橙色に輝き 朝の喧騒が遠くから聞こえてきた
星も月も見えなくなって 空が青くなった 始発のバスが家の横を横切って 人々が起き出したような気がした
家族が起き出して 階段を降りていく音がした 僕はスエットパンツからスーツに着替えて下に降りた テレビではニュースをやっていて 新聞では政治関連について一面で載っていた コーヒーが沸いていてトーストが焼け上がっている匂いがした
家を出る時 まだ太陽は出ていなかった 駅まで自転車に乗って行く 眩しく 後頭部が熱い 長い坂を下っていって活発になった街の駅の駐輪場に自転車を止める
空いている電車に乗って景色を眺めるのが一番好きだ 2回電車を乗り換えて会社に着く そしてデスクからやっと昇ってきた太陽を見るのだ 長い夜明け前だった
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