放課後の音楽室からのピアノの音と想い出の中の時間の流れ方は良く似ている/我辣波饅頭
 
命にとっての世界の終わりは生命の終る時だ 
だからきっと その犬は 
スプートニクと名付けられた塊の中で 
自分の世界の終わりを見つめ続けたのだろう 
その時犬が何を考えていたのか 
をれはその犬にしか解らないし 
そもそも私は犬ですらないので 
皆目見当もつかない 
では 私は世界が終るときに 
いったい何をして 何を想ふのだろう 
小さい頃は 自分がまさか成人するとか 
こうやって社会に出て働くなんて思ってもいなくて 
時間は円を描いていて 子供はずっと子供のままで 
大人はずっと大人のままのような 
そんな錯覚の中で 生きているような気
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