ペツェッティーノになりたかった/松本 卓也
 
じ色を持ってない
異なった色の部分品が集まって
色んな奴になってるんだから

ねぇペツェッティーノ
同じような部分品の中で
少しだけ違ってみるのも
面白いと思えるんだ

もし誰の部分品でもなければ
僕はきっと寂しさのあまり
誰かの部分品であろうとするだろう

ねぇペツェッティーノ
僕は君のようには
強くはなれなかったけれど

今日も笑っていられるし
背筋を伸ばして歩いていける

近頃は思うんだ
誰の部分品でもなければ
どんなに哀しい奴なのか

本当は部分品じゃないかもしれない
本当に部分品でしかないかもしれない
けれども自分の色を塗り替えられるのなら
それで良いと思ってるんだ

ねぇペツェッティーノ
僕は近頃思うんだけど
誰しもが部分品の塊で
誰しもが部分品に過ぎなくて

僕は僕なんだ
けれど
僕は僕だけじゃないんだ
そう分った気がするよ

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