ペツェッティーノになりたかった/松本 卓也
どうせ僕は社会と言う構造の一部で
一定のリズムを延々と刻み続ける内に
何時の間にかそれこそが幸福であると
結論付ける事で納得を繰り返し
やがて好きでも嫌いでもない
中途半端な将来を描くしかないのかなって
ペツェッティーノになりたかった
ひたすらに単調で貧相で矮小でありながら
真摯に自分に向き合っていたかったのに
どんな奴にも屈する事もなく
やがては自分の意味を見つけ出す
やがては自分の価値を見つけ出す
そうする事ができると信じていた
部分品なんかじゃない
僕は僕だと声高に叫べなくなって
どれくらいの年月が経ったのだろう
部分品である事で見出せる
明
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