夜/水町綜助
うだよ
だからきみと
あるいているんだ
こすれながら
皮膚は皮膚で
にじむけど
まざりあうことは難しいね
あなたのよわいところと
わたしのすごくたよりないぶぶんを
できるだけ
うすくなるように
すりあわせて
けずる
まざらないよ
まざるよ
ぼくたちはまざらない
ばらばらに
しんでしまう
そうね
あたらしい円ができるわ
たぶんわたしのからだをかりて
あなたは
ひとりね
*
円は収縮する
ひとつの夜を
スポンジに含んで
それといくつもの
朝と昼と夜も
それを握って
搾るのはたやすい
だから真ん中に穴を穿って
この海辺にころがしておこう
ひびわれるまで
潮風と
海を渡る
甲高くのぼりゆく
エンジンのひびきに
さらして
そうしてぼくはきみのてをつなぎつぶやくだろう
わすれた って
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