うつろ/麻生ゆり
 
それは 嵐のように やってくる
激しくて あまりにも激しくて
私は抗えず
ただただ それが過ぎゆくのを 待つしか ないのです

それは あるときは 私自身で
触れて なじって 傷つける
やつは 大いに ずれていて
眩暈をおこす 私を
喜んで 見て いる のだ

苦しい
限りなく 苦し い
翻弄されて かき乱されて
それはただ そこにあるだけ なのに
変わることなど 何もないはず なのに
ぎりぎりと 私を しめあげるの だ

強い 強いい 耳鳴りがして
何もない実体に
私は おびやかされ 続けている
救いが ないなら
せめて とおくで 眠らせて…
静かに ただ 真っ白に

だけど それでも 屈服しない よ
縛られても 責められても
ひざまずくこと なんて
絶対に してやらない わ
笑うなら 笑えばいいけど
私は 爪を噛む だけで
膝を折ったり しないでしょう
ええ かなわないのは 解っている けど
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