呼吸/doon
 

 周囲にある見えないものを
 私はそれとなく体に引き込む
 次は吐き出す

 針の音が刻んでいる
 日に日に、刻々と過ぎていくものを
 それは同時に死でもあり
 生でもある

 知っていくと 私たちは
 足元にあるべきものをどんどん見失う
 生まれたばかりの赤ん坊が
 母親に向かって手を伸ばすような
 透明さを喪う

 星は光っている 闇の中
 奥底に秘めた時を越えて今
 この暗天の空に細く光り瞬く
 残酷な運命を乗り越えて
 生きている自分を鼓舞するように
 もしかしたら
 勇気を振り絞って叫んでいるのではないだろうか

 書面から
 あの星の輝きはずっと昔の光だ
 その言葉を私はかき消した


 恒星は瞬く
 いまこの時を

 『生きている!!』と

 その声だけに私は
 耳を澄ました
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