死神の名付け親/ヴィリウ
わたしの人生は、あなたにもう一度逢う為のものでした。
かつて子供だったその男は、深く皺の刻まれた顔にうっすらと笑みを浮かべて云いました。
よく、生きた。
彼は静かに云いました。その声は、暮れかかる夕闇の様でした。
男は大きく頷き、あなたが、と続け、ひとつ呼吸をしました。
「あなたが呉れた名前があったから。辛いことがあっても、この名前が寄り添って呉れたから」
わたしは生きられたのです。
男の目から涙が零れ、しかしその唇には晴れやかな笑みが輝いていたのでした。
「よく生きた」
彼はもう一度そう呟き、漆黒の衣の袖から腕を出して男の頭を撫でました。まるで小さな子供にそうする様に。男はゆっ
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