帰途/唐草フウ
人ごみの平日はどこにも排気口がなくて
呼び捨ての間柄がどれくらい大切なことかを知った
ひとりで歩く 眩しさが送っている
啓蒙とかスピリチュアルとか癒しとか
生き方の模索
悲しみの何割かは忘れるとわかっても
弱みに誘惑される 人もいる
揺れそうになるのは 正直否めないから
だからこそ
歩こう
足の届かない いすに座って
振り子のように
待ち惚けて
あんな時あったな
何を想ってたのか
ふりかえれば少し
やさしさが痛い
話したいけど話せないことが増えたね
そばにいたら
それだけでいいと思うから
帰りのバスで
いつもの夕日
どうか、と願うと同時に
ひとりでも大丈夫、と言い聞かせてみる
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