荒波/池中茉莉花
茉莉花はこのごろ 勉強してる
子どものころからの 夢を 叶えようと
茉莉花にとっては 今までに流した 涙 ぜんぶ すくいあつめて
シューパロ湖ひとつ つくるくらい たいへんなこと
でも体が化石になってしまった
もっと 勉強したいのに
茉莉花は押しよせてくる悔しさの荒波に おぼれる
生きる苦しみに おぼれる
水が鼻に入る 口に入る
わたし、このまま ほっちゃれになっていくの?
茉莉花のもがきが紡ぎ出す
水飛沫が
お陽さまのひかりを反射して 閃光を放つ
おぼれながらおよぐ 茉莉花の眼を焼き尽くす
茉莉花の眼が 見えなくなる
おぼれている方が
お陽さまは わたしを鋭くみつめているのだ
おぼれながら 茉莉花は
大きな波を 一つ、 跳びこえる
ひかりを、ひかりを くださいと 叫びながら
涙はふるさとの海と混じりあい
茉莉花の体を やはらかく つつみこむ
そのぬくもりで思わず 眠気を催す
およぎながら、一眠りして
またおぼれようと
茉莉花は誓う
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