島/高宮シンゴ
埋没してしまいそうに思える
俺は焦った
あれは まぎれもなく
俺の島なのだ
傲慢な海などに
横取りされてたまるものか
俺は泳いでいる
ますます強く 水をかきわけ
最後の灯火のように
心はますます 弱まりながら
それでも俺は
泳ぐことをやめない
あれは俺の
夢の島なのだ
あの島でなら 俺はきっと
騎士のように雄々しく
生きることが出来る
泳ぎながら俺は
自らもまたひとつの島に変りつつあることを
感じる
海の下の さらにその下で
一枚の板が
俺と島を結び合わせようという
意志を持っているのがわかる
やがて俺は泳ぎ着いた
ふたつの島はひとつになった
暴力のような海の
無数の悪意に囲まれて
俺は
俺の島にささやく
空をごらん
あれが 永遠の太陽だよ
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