ときの流れ/
あずみの
あのとき雪を頂いていた山はもう
緑もずいぶんと深くなって
あのとき枯れ草を敷き詰めたようだった田はもう
水が張られて田植えの準備が整い
あのときどんよりと重く垂れ込めていた空はもう
蒼く澄み切ってどこまでも高く
あのとき世界の何もかもに絶望していたわたしは
きっと
わずかの希望を見出してここにいる
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