夢を信じ続けたら/はじめ
作曲家は空腹を誤魔化す為に暇さえあればずっと眠っていた
それ以外は作曲に専念していた
でも曲が売れなかった 彼の曲はこの時代に受け入れられなかったのである
眠っている間 彼は実に様々なことを考えた 腹一杯ご飯が食べられること 自分の曲が売れて世界中に争いが無くなり平和になること 何も考えなくてよかった裕福な家に育った子供の頃 作曲家になると言って家を出なければよかった そして愛しい小説家の女性のこと…
このパリの都に来てから名を広めようと楽曲を色んな人々に見せて回っていた時 新聞や本屋の雑誌や本に度々載っていた女流小説家がいた 彼女は彼の一つ年上でこの地で成功を収めていた
彼
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)