いきづく花/soft_machine
りからずっと希薄でもっとも幻な
忘れていたはずのお前の絵にまた巡り来る空
それは白濁したアニス酒と凍りついた霧の輪郭
夏が隠し持つナイフで傷つけられた片方の目が
自由な幸福という得体のしれない愚か者の元へ
赫ぎながらまわる器となって落ちて
粉々に割れてしまうまで落ちてゆく
ならば
アマリリス
せめてお前の花だけは
ここに残していってくれないか
閉ざした赤も好きに解いて構わない
重なる躯に潜む空白はあの雲のように
少しばかり宙に浮かんだ
名前のないかなしみだから
何かが息づく存在のお前は
これ以上散ることのないお前のために汲まれた水と
誰かのあたらしい色に染まって
いつかゆくあの径に
咲いてくれ、崩れ、高らかに
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