4階の月/あやさめ
 
テン開いた音がいつまでも二重なので
コップを落としてしまう 割れない音が作られる

誰彼かまわず息苦しそうに眠っているこの部屋の空気が
それに比例して薄くなったり濃くなったりしないから
とても不機嫌そうに君が「不公平だよね」なんて言うものだから
布団被せてあとは手品を始めるだけ


消えてしまった布団の中に太陽は姿を消し
4階の窓から映る月の形を欠けさせたのは僕じゃなく
傷口に耐えられない人々の時間が過ぎているこの部屋にはいない
誰かの夢の中に見つけてしまった誰か

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