4階の月/あやさめ
 
片方の耳を塞いで
遠回りした迷路の
転んだ看板に捨てられたような

連続体じみた明後日から
一昨日へ向けて打ち出された叫びが
目の前の髪の毛をかすめて

4階の窓から見える軒下の人影
彼が何をしようとしているのか見えていないから
後になって気づくのだろうもう一人の眼をした誰かが
ベランダから身を乗り出した月に滑り込んでいく

テレビの中から繋ぎ止める輪のような
足元をいつもより遅く溶けていく氷の流れに
目的が見つからないとため息ついてペンを取る
普通のおかしな風景を書き綴る

テーブルの隣には椅子が1つだけ
横倒しになって笑っている そんな想像の上
カーテン
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