隙日/ヨルノテガム
一、
夢の中で夢とは気づかず、商業ビルとマンション棟の間から
バスターミナルを横切ってゆく
無人の改札口を入り、無人の駅のホームへ上がる
静かに停車してくる無人電車のドアが開く
わたしを乗せて、街は店は電灯はいつも通り全て
ONの状態であったが眺めても眺めても
やはり無人の景色なのであった
二、
白日の空白であったか太陽光だけが白々と街に覆い重なりくる
バスターミナルに停車する車でさえハザードランプを
点滅させたまま無人であった
無人の改札口をカードで通過すると機械音だけが
声高に響いて、あとはいっそう静まってしまった
階段の足音も自身で一歩一歩消している気になる
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