しおりの わけ/
たりぽん(大理 奔)
たかった 」
そんなふうに書こうとはしなかった
そうでしょう、けっしてそんなふうには
色鉛筆はどの色も
面影にやさしさの輪郭をなぞり
ため息に似た独り言は秘めたまま
山の斜面を雲の陰影が流れていくのを
そっと栞にかえて挟み込む
そしていつかその場面を開き
栞の理由を思い出せたなら
それが私のいちばん深いところに置いた
消えない染み
蝶のような
蛾のような
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