しおりの わけ/たりぽん(大理 奔)
シャープペンが紙を滑る音で
断ち切られる記憶が鼓動になる
遠い日、焦がれた痛みを愛しく思い
あなたの体は柔らかいという方法
私の融点を
花の名前を当てるように
ほほえみながら探り当てては
水が凍る寸前の粘度でしたたるから
背筋を伸ばして
凍えるようにふるえてしまう
日記には置いただろうか
じっと動かさない万年筆からあふれた
蝶のような蛾のような、あの染みを
「 ただ
あなたの
ちいさな夢で
いたかった
寝息のそばで
静かにコトリと刻む
小さな時計で
いたか
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