たった一度の・・・/ユキムラ
歩き疲れた直線道路で、遠くに見えた小さなコンビニ。二人で買った一つの肉まん。
君は「半分こ」と言ったけれど、僕はこっそり小さい方を食べた。
其れは君の手がとても冷たかったから。それなのに君は、「大丈夫」といつもの強がり。
本当はあの時、君が足を引き摺って歩いていた事も知っていたよ。
でもそのコトは君が言わないから、僕も気付かない振りをしてあげた。
君は何時でも笑っていて、決して「真実」をみせてはくれなかったね。
そんなに僕の事が、信ジラレナイ・・・?
何だか刹那くなって、思わず抱き締めた。
心は泣いていて、本当はずっと泣いていて・・・。
真っ暗な空からも、何時しか降り出した酸性雨。
僕達は、此の侭ずっと離れずにいられると思っていた。
其れは気紛れな君の、本当に気紛れな、暗闇の中でのKiss...
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