赤い葬列/いねむり猫
時代の暗部ばかりを見つめているおまえに
癒しや救いを語ることはできない
たとえそれが99パーセントの真実だったとしても
人の心は、真実とは異なるものを求めているのだから
それが世の中を惑わす虚言や
武器を売りさばく者たちの合理性や
時代の苦しみを隠す神の声だったとしても
人が求めるものが真実だと
そのもう一つの歴史を
おまえが理解できないだけなのだ
空から舞い落ちる石の花たち
それは爆風と銃声のなかの瓦礫だと
そう叫んでも
赤い花の葬列に従う人々を止めることはできない
犠牲と犠牲の積み上げの中でこそ達成される信仰
出口のない絶望こそが 神のもた
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