赤い葬列/いねむり猫
 

時代の暗部ばかりを見つめているおまえに
癒しや救いを語ることはできない

たとえそれが99パーセントの真実だったとしても
人の心は、真実とは異なるものを求めているのだから

それが世の中を惑わす虚言や
武器を売りさばく者たちの合理性や
時代の苦しみを隠す神の声だったとしても

人が求めるものが真実だと
そのもう一つの歴史を
おまえが理解できないだけなのだ

空から舞い落ちる石の花たち
それは爆風と銃声のなかの瓦礫だと
そう叫んでも
赤い花の葬列に従う人々を止めることはできない

犠牲と犠牲の積み上げの中でこそ達成される信仰
出口のない絶望こそが 神のもた
[次のページ]
戻る   Point(2)