漂流/黒川排除 (oldsoup)
 
 こつこつという足音。少し風まじりの雨が降っている。その軽快さ。そしてその連続性は午後の憂鬱だ。足音はその憂鬱の中を闊歩する。それが何かの助けになることは無い。憂鬱が変拍子を打つようになっただけだ。たかららったらんかかkらったたん。うっさぎー。うさぎおいしいあるいはこいしい。ややしぶみがあってつうごのみ。唱歌はずっと、雨の音より強い濁流の音にかき消されている。流木。葉。鳥の死骸。上流にあるものの一部が下流へと運ばれていく。通るべきでないものは橋脚に引っかかる。彼の座り込んでいるのもまた同じ理由からだ。その橋は昔から背を踏まれ続けてきたに違いない。傷みの激しい反り橋だ。欄干などは既に腐っている。橋の
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