箱の隅の断想/をゝさわ英幸
 
は余りに遠すぎる目的のように思われた。
  思いもよらぬ、久遠の空間に置去りにされた目的。
  彼は思う。
  「俺の辿った道にオアシスは無かった。意味無き道を造っただけかも知れぬ。
  何故って、砂はすぐに道を覆うから」

……記憶の流れが、波を打って逆流してゆく。
  蹉跌の始まりはどこだったのか?
  泥濘(ぬかるみ)の如き砂原での躓きの連続、
  終り無き躓き、
  では生存の意味は?

それらの囁きが頭を彷徨う

……「永遠の蹉跌、その為にオアシスを見過ごしたのだろうか。
   だが、もういい。目的は無かったが、出口はあったのだから」
 
やがて彼の意識は薄れていった。

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