緑と金/
木立 悟
てゆく
双つの雨が
互いに気づくことなくすれちがう
緑に濡れ 金に濡れ
緑と金は確かめる
変わるもの 変わらぬものを確かめる
しおれかけた花の横で
羽は一度眠りにつく
つぼみが庭のすみを照らし
生まれてはじめて咲こうとしている
唱が近づき 遠のいてゆく
濡れた衣に映る道
やがて草となるいとなみ たましい
空に触れては点す手のひら
髪を梳かし かがやきながら
緑と金を見つめている
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