緑と金/木立 悟
遅れて響く真昼の音が
午後をゆらりと追いかける
畏れのかたち
雲に去られた
空のかたち
緑と金が
ひらいては呼ぶ
空の端 地の辺に
呼び覚ます
呼び覚ます 火
蟻のような鳥の群れが
葉と枝から流れ落ちる
落ちては飛び 落ちてはかがやき
手のひらと土と
空に沈む
ずっと ずっと
はばたかなければいけないいのちか
風に現われる水紋に
憩うことは許されないか
横たわるように 羽を休めて
枝の道をかきわけて
最初に触れた光のかたちが
手のひらの水にくちびるをつけ
重なる意匠を飲みほしてゆく
赤子のように飲みほしてゆ
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