粘度/
たもつ
帰宅する途中
コーンスープの匂いがする
家の前を通りかかる
中から男女の諍いの声が聞こえてくる
少年が一人
玄関の外に立っている
ドアにもたれてただうつむいている
どうかあの少年が
私ではありませんように
けれど私は知っていた
その足元に咲く花の
花びらの数を
誰も飲むことなく流しに捨てられた
スープの粘度も
戻る
編
削
Point
(13)