Go West/あveC
歩いた
俺は歩いた
俺はいつも一人ぼっちだ
だから歩いた
となりの町へ
隣の県へ
隣の国へ
海の向こうへ
どこへでも歩いた
知ってるやつなんていやしない
いろんなやつと出会って
別れた
それでも歩いた
誰も止められやしない
止める気もない
目の前にある道を
俺は歩き続けた
天変地異が起ころうが
戦争が起きようが
なにがあっても
歩き続けた
いつものように雨が降り
そして消えた
なんてことない朝
俺は歩く
「やぁ、ひさしぶりだね」
そいつは歩く俺に言いやがった
雨の上がった翌朝に
歩き続ける俺に
「今日も元気に行こうか」
俺の気持ちなんて考えやしねえ
泣きたくて、怒りたくて、笑いたかった
うつむき歩く
「今日もお別れだね」
西の空、そいつは悲しげに言った
「それじゃあね」
俺は走っていた
「また、会えるよな」
俺は叫んだ、あいつに届くように
おおきな声で空に向かって
いつしか歩みは止まっていた
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