意味するもの/ユキムラ
 
人間(ひと)は成長するもので

とても短い間で変わってしまうもので

目を逸らしたら見失ってしまうよ。

瞬きをしている間に消えてしまうよ。




さっきまで目の前に描かれていた風景、だった筈の、廃墟。

今まで手を繋いでいた、と思っていただけの、人形。



気が付くと、いつも独りで、闇の中。

何も聞こえない。何も映らない。何も、感じられない。

・・・無・・・の、世界。


「誰か」と言いかけた言葉は自らの耳にさえ、もう届きはしない。

きっと一生、此処からは出られないのだろう。

悟ってしまった私は総ての回路を断ち切り、総ての時間(とき)を、止めてしまった。






――――何も無くなった世界で私は再び(また) 独り。


生きもせず、死にもせず、只だらだらと締まり無く、血を垂れ流して息をする。


早く止まれと願うのは、呼吸が先か、血が先か・・・・・・

戻る   Point(1)