秘密基地/はじめ
 
べながら比較的時を満喫すると 屋根に上がって天体望遠鏡で空を眺めた 冷たい風が僕らの耳を凍り付かせようとする 季節はもうすぐ冬だ 晩秋の星座が宇宙をゆっくり回っている 本当は僕達の地球が回っていることをいつも忘れて観察している 吐く息も白い
 彼は見えた星座を事細かくチェックし 家族で祝う最後の誕生日で買ってもらった図鑑と照らし合わせて確認した 僕はその様子を見ていて本当に星が好きなんだなと改めて思う
 時刻は既に日付を変えて 街の灯も徐々に少なくなってきた 最後の汽車の汽笛の音が響き渡ると 静寂が急に訪れたような気がした
 僕は彼の家に泊まりに行っていることになっている お母さんが彼の家に
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