虚像/田島オスカー
 


虚像の滲みが 君を遠ざけてゆくので
僕のほうこそ滲んでしまって
実はもう消えてしまいそうだ

のばした手が 精一杯で
君はもちろん虚像だから
つまり 精一杯も届かない

ああ真っ暗闇が薄くなってゆく
ぼんやりと滲んだ虚像は
君の笑顔だった気もするよ
僕は一枚隔てた向こうに今も
君の虚像を見ているよ
でももう暗闇はなくなって
どこもかしこも真っ白くなって
もうじき滲みも薄れ なくなってしまうだろう

隔てられて さわれないし
虚像だから 届かないけれど
涙に滲むほど 焦がれたよ

君からは 実像で見えていたはずの


 
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