眩暈/海美
蝉が鳴き 汗が滲む 8月の昼
建物から急ぎ足で出てくる男女 あたしとあなた
その場限りの仲 二度と会うことはないでしょう
あなたの後姿を見るのが切なくて 次の男へと
何人もの男に抱かれて 体力消耗
まるで地獄から這い上がってきたかのような顔
愛とか平和なんていらない
家に帰れば 過酷な現実
犯されて 殴られて 蹴られて・・・失神
空は白かった 何もかも真っ白なままで
泣きたくないのに涙が溢れて そのまま眠る
自分の生が醜くて 苦しくて 悔しくて・・・
それでも己を殺せず あたしは悩み続ける
日の光が一筋の道に見えた 明るい未来
将来だとか生き方だとか何も分からないから
あたしは今を生きている
クラクラと眩暈に襲われながらも生きている
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