はしる。/深散
 
あの日に僕があきらめたものは
そういうものだった
幸せになることを諦める卑劣
多分地球上で最も腐った肉体が
きっとここに転がっている

誰とも目を合わせられない
この穢れた己をさらせない

ダキシメテホシカッタ

生ぬるい願望を甘えにして
でも遠く過ぎ去った
ビル、長い商店街

死んでいく子は
今、どれだけ寒いんだろう
それだけを
抱きしめてあげられたら
もうそれで悔いはないのに

くだらない
有益ゆえに造られたなら
無益ゆえに放り出してはくれまいか

靴のつま先が食い込む軋みと
階段が胸を打つ衝撃と
呼吸がつまる感覚
「これで、今度こそ」
おわれるんじゃないか?

甘い、甘さがこみ上げる

まだ、どれだけ、立ち上がらなくては
いけない?
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