ひまちゃん/佐野権太
あなたのご推察のように
私の頬袋という港には
一艘の縞模様が
静かに停泊しております
ふとく、ほそく打ち寄せる
うるわしき流線の集合する先端を
風に尖らせ
凝縮された夏色の系譜は
まもなく
私の内側を
美しく帆走するでしょう
何でしたか
そう、ひまちゃん
このふくらみが
ひまちゃんかどうかは
わかりかねます
(週末に蒔くはずだった
(ひまちゃんが
(捕われています
(家族の数だけ咲かせようと
(菱形の一角であった
(ひまちゃんが
(捕われています
(僕は
(どうしたらいいのかな
(ふくらみ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)