図書館にて/麻生ゆり
 
静かな 虚空の 中で ふわり
君の 髪が やわらかく 揺れた
窓の 清らかな 光を 背負って
輪郭が 白く 淡く ぼやける
その 間(ま)だけ 時間が 止まって
埃で さえも 浮かんだ ままで
私は 一瞬で 恋に 落ちた
そのまま ずっと 眺めて いたくて
声を かけることも できぬ まま
ほおづえを ついて 本を 読む
君を 棚の かげから のぞく
ずっと ずっと このまま ずっと
何も 変わらず いられたら いいのに…
けれど 願いは 虚しく 去って
やがて 時は 動き だし
君は 音もなく 空気に 溶けた
そして 恋も そこで 終わる
君は 永遠に 気づきは しない
だけど きれいな 君に 恋す
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