母の日のメデューサ/蒸発王
滴る血潮からは
羽を持つ馬と
赤い花が生まれた
『母の日のメデューサ』
母にとって
父の面影を落とす私は
恐怖の塊でした
父が何をしたのか
母がどんな目に合わされたのか
そんな小さな事は
消えていましたが
ただひたすらに
私は母の恐怖を散らして生きていました
母は私を打ち
家中の鏡を壊して
私が映す
父の面影から逃げようと必死でした
私は母の怪物(メデューサ)だったのでしょう
そんな母を
私は哀れむと共に
何故か
愛しささえ感じていました
母を救えるのは
決して私ではないはずなのに
私は母を救
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