抱擁/氷水蒸流
彼女は死んでいる
悲しくはない
はじめから光などなかった
彼女は死んでいた はじめから
なにもかもが闇だった
なにもかもが星でも なにもかもが糞でも同じことだ
彼女は包んで欲しいと言う
どこにもないぬくもりを
言葉を知るほど感覚が擦り切れていく
彼女に火を点け 抱いた
行為というよりは落下で 落下というよりは切開のように
闇に腕を回し 星に手を入れ 糞にくちづける
言葉を知るほど感覚が擦り切れていく
死のうとしたのではない
僕は死んでいた はじめから
炎が君のぬくもりであるなら
炎が君のぬくもりであるなら
永遠を錯覚する
祈りだけが在る
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