虚無の風/吉岡ペペロ
 
梅ちゃんに、また会いたいなあ、

そうつぶやくと

また三郎に、あの風が吹いてきた

三郎は

ふいにじぶんに吹いてくるその風を

虚無の風、と呼んでいた


風に吹かれて幾千万の粒子となったそれは

ゆき場を失いあふれかえり

やがて、空にむかって届かぬ旅を始めるのだった

三郎は、その幻視に虚無を観じていた


梅ちゃんに、また会いたいなあ、

そうつぶやくと

また三郎に、あの風が吹いてきた

三郎は

ふいにじぶんに吹くその風を

虚無の風、と呼んでいた
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