少女の色/なかがわひろか
 
ちょうど欲しい色を切らしていたから
椅子に腰掛けて本を読んでいる彼に相談した
あいにく僕もその色を持っていない
二人で一緒に探しにいこうか
そう言って近所の公園へ出かけた

私たちは遊具で遊ぶ子どもたちを見ていて
髪の毛をおさげにして
他の子どもたちと鬼ごっこをしている少女に目を留めた
ねえお嬢ちゃん
一緒にお家にいらっしゃい

少女はどういう判断を下していいか思案していたけど
お姉さんはなんだか優しそうだったし
お兄さんはとても力強そうだったから
少女はにこにこしながら家へとついて行った

痛くないからねそう言いながら私は
少女の
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