雨が上るが/ねなぎ
日報に書かれた
特に回っていない客先を
何食わない顔で
提出したら
帰れるだろうか
雨音が遠ざかったと言うのに
雲は垂れ込めたままで
この場所がどこだか
連絡も取れずに
待っている
多分
何食わない顔で
受理されるのだろう
雨が上っても
ずっと煙草を吸いながら
眺めているのは
特にする事も無く
特にしたくもない為だった
水音だけが残って
どこにも水分が立ち込めて
残されたように
立ち竦むと
傘を持っている事を思い出した
帰りたいと思ったのは
染み込んでしまった
水分になどでは無い
戻る 編 削 Point(2)