お水だったころ/
 
街へ誘い、年上男性の褒め言葉に宵に酔って、
あたしはおんなのこであることをやめていたのだ。

そんなふうになって、まず、同世代の男の子からデートに誘われなくなった。
それに気がついたのは大分あとだったけれど、女の子の友達の種類もすこしかわったようにおもう。

おんなの柔軟性を体をもって体感したしゅんかんである。
天然でばかだといわれ続けたあたしもしたたかになった。だまされたり、傷ついたり。

どんなおんなも、においや、体や、言葉で変わってしまう夜の世界に、
もう戻ることは無いだろうが

いまでも、時給800円のバイトはできない。
もうもどれない金銭感覚だけが、
わたしのなかに、

いまも静かに残り、時に夢となって、ふたたび夜の町にもどってゆく。

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