お水だったころ/床
街へ誘い、年上男性の褒め言葉に宵に酔って、
あたしはおんなのこであることをやめていたのだ。
そんなふうになって、まず、同世代の男の子からデートに誘われなくなった。
それに気がついたのは大分あとだったけれど、女の子の友達の種類もすこしかわったようにおもう。
おんなの柔軟性を体をもって体感したしゅんかんである。
天然でばかだといわれ続けたあたしもしたたかになった。だまされたり、傷ついたり。
どんなおんなも、においや、体や、言葉で変わってしまう夜の世界に、
もう戻ることは無いだろうが
いまでも、時給800円のバイトはできない。
もうもどれない金銭感覚だけが、
わたしのなかに、
いまも静かに残り、時に夢となって、ふたたび夜の町にもどってゆく。
戻る 編 削 Point(2)