沈黙と蝶/石瀬琳々
 
夏の野は沈黙の果てみつめあう
    だけのくちづけ唇に蝶


じっとして壊れないよう忍び寄る
    白い羽には光だけ射し


言葉などもはやいらない君をつれ
    夏の丘へと逃げる細足


けれどもう絡む深草指先の
    蝶を逃がして倒れこむ道


愛というその白日夢うなだれる
    虫取り網の少年われは



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