*浮き島/チグトセ
も分からない。とにかくそんな状況なんだ」
「破天荒な状況だな」
「そう。でね。俺たちは腹が減った。お前はその象を食う?」
僕がしばらく考えた五秒間が過ぎた。
「そこらへんに生えてる草でも食べるよ」
寺内はゆっくりと瞬きをした。
「……でもな、お前、草は不味い。けど、象は焼いて食べたらきっと美味いだろう。少なくとも草よりはな」
「なあ、ちょっと待ってくれ」僕はぎゅっと目を瞑った。「俺たちはその象を使って何をしてるんだ? ……何のために象を飼ってるんだよ?」
「別に。象は何の役にも立たない」
「じゃあ初めから飼ったりなんかしないだろう」
「いや、それ以前に必然的な
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